我々弁護士が業務の中で接する、事故によって高次脳機能障害を負った被害者でもっとも多い方は、交通事故による被害者です。そして、交通事故の場合、交通事故の相手方が存在し、(全部ではないにしても)その相手方に(も)事故を起こした責任があることがほとんどでしょうから、一般の方でも、事故の相手方に損害賠償請求ができるということは、すぐにわかられます。
ただ、事故は交通事故だけではありません。まず、労災事故が挙げられます。
例えば、勤務先の会社の業務を行っている最中に、被害者が自ら転落、転倒するなどして頭部を損傷する事故に遭い、高次脳機能障害を負った場合、交通事故のように、直接的な加害者がいるわけではありません。
しかし、勤務先の会社等は、雇用する労働者に対して、労働者が業務を行うにあたって生命や身体に危害を及ばないようにする安全配慮義務を負っています。したがって、勤務先の会社等が、こうした義務を怠った結果、労働者が高次脳機能障害等の障害を負った場合、損害賠償請求を求めることができます。
また、勤務先の会社等のこうした責任の有無にかかわらず、労災保険金の請求が認められることは多いです。
ただ、損害賠償請求、労災保険金請求のいずれについても、時効があるため、請求しないままでいると請求ができなくなってしまいますので、労災事故に遭われた場合は早めのご相談をおすすめ致します。