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無症状とも思える高次脳機能障害の賠償問題

脳に器質性の障害(=MRIやCTなどの画像で脳損傷が目に見えて確認できるということ。)があっても、症状が確認しづらいことがあります。

脳の器質性の障害の場合、身体に麻痺症状が出るなど分かりやすい形で症状が発現することもありますが、身体には一切の症状が出ないこともあります。

身体には症状が出なくとも、「以前と比べて怒りっぽくなった」「忘れっぽくなった」「元気がなくなった」というように、精神面に影響が生じる場合があるのですが、脳に器質性の障害を負ってしまった本人自身は、こうした精神面の変化に気づいていなこともあります。

バイク事故にあった20代のTさんは、事故により脳損傷を負いますが、麻痺などの身体症状が残らなかったため、完治したと思い込み、中枢神経障害の後遺障害等級は認定されませんでした。

ただ、その後、当弁護団の弁護士が介入し、Tさんのお母様などにお話を伺った結果、「以前と比べて怒りっぽくなった」「忘れっぽくなった」「元気がなくなった」といった精神面の変化が事故後に生じていたことが判明し、Tさんの周りの人の話を軸に、神経系統の障害に関する医学的意見などの証拠を取り付け、中枢神経の障害として後遺障害等級7級の認定を受けました。

この7級の等級が付くか否かによって、慰謝料などの賠償額は数千万円単位で変化します。

高次脳機能障害というのは、目に見えにくい傷病です。

一見すると、何らの障害がないように見えますが、近親者の方など近くにいる人だけが変化に気づいていることもありますので、高次脳機能障害を考えるにあたっては、患者さんご本人のみならず、そのご家族の方のサポートが、弁護士目線で見ても不可欠といえます。