高次脳機能障害者のご家族からの相談としてよくあるもののひとつが、高次脳機能障害者が理解力、判断力等が低下しているために、詐欺などに遭って不当な契約を結ばされたり、あるいは浪費癖から、その財産を失うことを防ぐにはどうすればよいかというものです。
その方法としては、成年後見と信託が考えられます。両者の内容や違いなどを順にご説明します。まず、成年後見という方法から。

成年後見は、家庭裁判所へ申立を行いその審判を受けるという方法で、高次脳機能障害者ができる行為を制限するものです。その上で、ご家族や弁護士等の中から、高次脳機能障害者の財産を保護する人(後見人など)を選任してもらい、その後見人が高次脳機能障害者に代わって契約等をできるようにしたり(代理権)、高次脳機能障害者による契約を取り消したり(取消権)できるようにして、高次脳機能障害者の財産を保護しようとする制度です。

ただ、家庭裁判所は、専門家(弁護士、司法書士等)を後見人や後見監督人等に選任することも多く、その報酬が継続的なコストになります(資産額にもよりますが、月額1万円~5万円程)。そこで、そうしたコストを回避する方法として、次のコラムで述べる信託(信託契約)という方法があります。

なお、厚生労働省のサイトに「成年後見はやわかり」というサイトがありましたので、より詳しく知りたい方は参考にされてください。
https://guardianship.mhlw.go.jp/